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個人事業と法人の税金比較

税務と労務

  • 税理士 菅原栄太郎
  • 行政書士 塩谷豪
  • 担当する人

これから事業を始める方、またこれまで個人で事業を行ってきた方は、「法人にすると節税になる」という話を聞いたことがあるかと思います。

確かに、法人にすることで個人事業よりも税制面で有利になる部分もありますが、実際計算してみるとどのくらいの節税になるのかシミュレーションしてみました。

※ あくまで簡易シミュレーションなので、個別の事情等によりこの計算通りになるとは限りません。節税目的で法人化される場合、あらかじめ税理士など会計の専門家にご相談の上、比較してみてください。

法人成りした場合の税負担シミュレーション

(課税所得800万円の場合)

個人事業をそのまま法人化することを「法人成り」という言い方をすることがあります。個人事業で課税所得800万円だった場合、法人成りしたら税額ではおよそどれくらいの差があるのか計算してみます。

個人事業の場合の税額

個人事業の場合、課税対象は「年間の利益から所得控除を除いた金額」になります(所得控除)。 すごく大まかに「手残り」とイメージして頂ければいいと思います。

この課税所得に下記の金額に応じた税率をかけ、更に控除額の金額を引きます。

表1
課税される所得金額 税率 控除額
~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,229,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円以上 40% 2,796,000円

法人の場合の税額

法人成りした場合、会社の売上から役員報酬という形で社長などが受け取り、「役員報酬から給与所得控除を引いた額」が課税対象になります。

役員報酬から<表2>の報酬額に応じた給与所得控除を引き、控除後の金額に上記<表1>の金額に応じた税率をかけ、更に「控除額」の金額を引きます。

因みに給与所得金額が660万円未満の場合が非常に細かい計算になるので、このサイトでは660万円以上の場合のみ掲載します。

表2
給与等の金額 給与所得控除額
6,600,000円~9,999,000円 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000以上 収入金額×5%+1,700,000円

なお、法人の場合は利益に対して一定の割合で法人税が課されますが、今回は利益800万円を全て役員報酬として支払うこととして計算しているので、法人税はかかりません(課税対象0円)。

実際に個人事業と法人を比較してみる

個人事業(課税所得800万円)
<表1>より
8,000,000円×0.23-636,000円=1,204,000円(税額)
法人成り(役員報酬800万円)
<表2>より
8,000,000円×10%+1,2000,000円=2,000,000円(控除額)
<表1>より
(8,000,000円-2,000,000円)×0.2-427,500円=772,500円(税額)
個人事業と法人の場合それぞれの税額差
1,204,000円-772,500円=431,500円
※この他、それぞれ住民税10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)がかかります

簡易シミュレーションでは、法人成りした場合の方が所得税の431,500円少なくて済む計算になります。

ただしこの計算には全ての法人にかかる法人住民税均等割7万円が入っていませんし、税理士等に依頼する場合の報酬なども含まれていません。税額だけ見れば確かに節税になる場合もありますが、「得かどうか、メリットがあるか」という面で言えば、一概に法人成りした方がいいとは言い切れません。

取引条件、社会的信用、お金の分離(個人と法人の通帳を分ける)、事務手続きの面倒さなど、法人成りすることで得られるメリットとデメリットを比較して検討する必要があるでしょう。

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